難聴治療:混合ガス治療で耳鳴りが改善

前回の記事「重低音・低周波音などの騒音が気になる…と思ったら、一度はこの記事を読んで欲しい【突発性難聴】」の続きです。

前回の記事では、私に突発性難聴と確定診断が下るまでの詳細についてお伝えしましたが、
今回は、その後に行った治療や、耳鳴りを対処するための工夫などについてお話ししようと思います。

以下にご紹介する話は、
※あくまでも私の場合の診断であり、同様の症状をお持ちの方みなさまに当てはまるものではありません必ず各自で耳鼻科等を受診するなどして、医師にご相談ください

今回の話題のポイント

・難聴の種類
・感音性難聴(突発性難聴はこのうちの1つ)の薬物治療と混合ガス治療
・混合ガス治療で耳鳴りが改善
・耳鳴りを紛らわすアイテムや工夫

難聴の種類

下記の資料は、私が通院している耳鼻科医からいただいたパンフレットの文章を分類化して私が表現したものです。(※あくまでも耳鼻科は専門外の私が作ったものなので、参考までに)

私の罹ってしまった【突発性難聴】は、上にピンクの文字で示していますが、【突発性難聴】 は、【感音(性)難聴】の1つとされています。

この 【感音(性)難聴】 ですが、私も経験しているように、耳鳴りと耳閉感を伴うことが多いらしいです。

薬物療法

私は初回の診察で突発性難聴と診断されたとき、前回の記事に書いたように、発症から2週間程度以上経過してしまったため、ステロイド治療が可能な時期(ステロイド治療で効果が期待できる時期)を過ぎてしまいました

そのため、初回の診察で処方されたのは、以下の通りです。

初回の診察で処方された薬

再度書きますが、あくまでも私の薬の効果の感じ方を記しています。効果の発現は人によっても異なることをどうぞご承知おきください…!

初回に処方されたのは、耳鳴り治療の王道の薬、ともいうべき以下の2剤、
① アデホスコーワ顆粒10%(有効成分は、体内のエネルギー源である「ATP」)
メチコバール錠500μg(ビタミンB12の1種で活性型、私の写真はジェネリック)
と、漢方薬の
苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)エキス顆粒・医療用[ツムラ39(体力がなく、めまい、ふらつき、のぼせ、動悸などがあって、尿量が減少している人に用いられる処方です。そうした症状のある人の、神経症、立ちくらみ、めまい、頭痛、息切れなどで用いられる>>ツムラHPより引用)
計3剤(薬1種類につき1つを、1日3回服用)を2週間分処方してもらいました。

これらを飲んで、耳閉感はまったく気にならなくなりましたが、耳鳴りについては、私の場合何も変わりませんでした。

2回目の診察で処方された薬

2週間後、間違って初回に診察してくれた優しいベテラン医師がいない日に行ってしまい、別の医師の診察を受けましたが、効果がないことを訴えると、今度は③の漢方だけが入れ替わり、以下のセットになりました。

① アデホスコーワ顆粒10%
メチコバール錠500μg
③ イソバイドシロップ70%分包30 mL(脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎・尿管結石時の利尿、緑内障の眼圧降下、メニエール病)

計3剤(薬1種類につき1つを、1日3回服用)を2週間分処方してもらいました。

「イソバイド」のみ、写真はWikipediaより引用

ちなみにこの時に診察をした医師は、ちょっと偉そうな態度の30代後半から40代前半の男性で、まだ私はこの時、自分に聞こえている音が耳鳴りか実際の音かが分からなくて混乱し、精神的にも非常に参っていたので、「耳鳴りか実際の音か分からない、という患者さんは他にもいるのでしょうか?」と尋ねると、「コロナ禍で突発性難聴の患者さんが増えているし、あなたみたいな人も死ぬほどいますよ。」と言われました。

耳鳴りで自殺する人もいるという中、耳鼻科の医師がたとえ比喩用言だとしても「死ぬ」という言葉を使うことが不謹慎に思え、非常に腹立たしくて、二度とこの医師の診察を受けたくなくなり、それ以降は初回の優しい先生に診てもらうことにしました。

話は戻ってこの「イソバイド」という薬、シロップと書いてあるものの、罰ゲームみたいに苦くてマズい…!突発性難聴はストレスが良くないと言いますが、この薬を飲むのがストレスでした^^;
その上、全く症状は改善されず、まずいだけでした(笑)

3回目の診察で処方された薬

3回目の診察は初回の優しいベテラン医師で、その後もずっと同医師に診察して頂いています。
私が「まったく良くならない、睡眠薬は別の病院で(耳鳴りがする前から)もともと睡眠障害なので飲んでいますが、耳鳴りが気になって、気が立って眠れません」と言うと、2回目の処方をカルテで見て「あのマズい水薬はストレスでしょ?2週間飲んで症状が改善されなかったら、これ以上飲んでも効果が期待できないから別の薬にしましょう。あと、眠る前に飲む漢方も処方しましょう。」とおっしゃって下さいました。
さすが、ベテラン先生、分かってる…!優しい先生の対応とお言葉があり、耳鳴りが辛くてもなんとか精神的に持ちこたえました。

① アデホスコーワ顆粒10%
メチコバール錠500μg
と、漢方薬の
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)エキス顆粒・医療用 ツムラ23
(血液の巡りをよくして、体を温め、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などによく用いられるほか、産前産後の不調〔貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ〕などにも使われる)
計3剤(薬1種類につき1つを、1日3回服用)を2週間分処方してもらいました。

加えて、1日1包睡眠前の漢方薬
抑肝散(ヨクカンサン) エキス顆粒・医療用 ツムラ54 (神経症、不眠症、歯ぎしり、更年期障害、血の道症 〔女性ホルモンの変動に伴って現れる体と心の症状〕 、子どもの夜泣き、かんしゃくなどに使われる)
2週間分処方してもらいました。

4回目の診察で処方された薬

この3回目の処方↑の後、少しだけ耳鳴りが良くなったような気がして、それを4回目の診察で報告すると、 3回目の処方↑と同じで1ヵ月間の継続処方となりました。

5回目の診察で処方された薬

上記薬を1ヵ月間飲んだものの、また元通りに耳鳴りがぐおんぐおんしてしまい、特に寝る前は気になって、ただでさえ睡眠障害がひどいのに、耳鳴りストレスで余計に眠りが浅くなってしまいました。
ということで、1日3回の漢方を別のものに変えて試してみることにしました。

① アデホスコーワ顆粒10%
メチコバール錠500μg
と、漢方薬の
加味帰脾湯(カミキヒトウ)エキス顆粒・医療用 ツムラ137
(虚弱体質で心身が疲れ、血色が悪い人の、貧血、不眠症、精神不安などの改善に用いられる。寝汗、微熱、熱感などがある場合に向くとされる)
計3剤(薬1種類につき1つを、1日3回服用)を1ヵ月分処方

それに前回と同じ1日1包睡眠前の漢方薬
抑肝散(ヨクカンサン) エキス顆粒・医療用 ツムラ54 (神経症、不眠症、歯ぎしり、更年期障害、血の道症 〔女性ホルモンの変動に伴って現れる体と心の症状〕 、子どもの夜泣き、かんしゃくなどに使われる)
1ヵ月分処方 してもらいました。

6回目以降、現在も続いている薬

5回目の処方薬になってから1ヵ月分の薬を飲み終えるのを待たずして、3週間後に再び病院へ行きました。
というのも、ものすごく耳鳴りが悪化してしまい、耳鳴りはぐおんぐおんと1日中鳴りやまない日が続き、ひどい時は、まるでボイラールームにでもいるかのようなうるささとなってしまいました。

突発性難聴はストレスが良くないというのに、皮肉なことに、その症状の耳鳴りストレスで私は憔悴しきってしまっていました。

このまま漢方をあれこれ飲んでいても改善する期待が私には持てず、先生にもっと他に治療法を試したいとご相談したところ、
・混合ガス療法
・鍼治療

をご提案頂きました。

薬に関しては、ここまでの処方の中で、一時的だったとはいえ、一番ましだったのが3回目の処方だったので、そちらに戻していただきました。
1日3回:
① アデホスコーワ顆粒10%
メチコバール錠500μg
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)エキス顆粒・医療用 ツムラ23
就寝前:
抑肝散(ヨクカンサン) エキス顆粒・医療用 ツムラ54

この処方のまま、現在に至ります。

そして、これらの薬物治療と併せて、10月28日から混合ガス療法を開始しています。

混合ガス療法とは

混合ガスというのは95%の酸素+5%の二酸化炭素のことです。
以前は感音性難聴↓の治療は難しいとされてきましたが、近年いくつか治療効果があると言われているものがあり、そのうちの1つが混合ガス療法ということです。

混合ガスを吸引すると、脳の血流が良くなり、内耳の血流も増加して、これが難聴、耳閉感、耳鳴り、めまい、嗅覚・味覚障害を改善する場合があるそうです。

治療に際し、私の場合は先生から
「最低でも週1回、できれば週2~3回、合計12回の混合ガス治療を行って、効果を判断する」

と言われました。
また、
「効果がある方の場合、3~4回目から、”あれ、少し調子が良いかもしれない”、という感じになりますが、12回終了したところで判断します。」
「酸素を吸うと、リラックスした気持ちにもなりますよ^^」

とも言われました。

混合ガス療法をやってみた

小タイトルには「やってみた」となっていますが、今は12回のうち、10回が完了しているところです。

実際に混合ガス治療とはどんなことをするのかというと、
私の通っている病院では、混合ガスの吸引に併せて、点滴治療も行っています
私の場合は、生理食塩水100 mLにATP (代謝賦活剤)とメチコバール(ビタミンB12の1種で活性型 )を加えた点滴《ATPやビタミンB12はふだん経口薬としても飲んでいるものと有効成分は同じ》です。

その方法は、まずベッドに横たわり、酸素マスクを付けます。間もなく看護師さんに点滴針を刺してもらい、点滴を開始。混合ガスの吸引と点滴を同時に行います

酸素マスクを付けた姿を、片手で携帯を使って何とか自撮りしてみました^^;

点滴↓。黄色いのは点滴本体を覆っているカバーで、点滴自体はビタミンB12の薄いピンク色をしています。ビタミンB12は光(や熱)に弱いので黄色いカバーで遮光しているのだと思います。

点滴は約20分で終わり、酸素吸引は30分間行います。同時に行うので所要時間は30分程度です。

この混合ガス(95%酸素+5%二酸化炭素)の吸引なのですが、これが私にはとてもリラックス効果があってびっくりです…!
担当医師に「リラックスできるんですよ」と言われた時は、正直、”え~?酸素を吸うだけでそんな効果あるのかなぁ~??”と半信半疑で、実際に混合ガスを吸うときはそんなことを言われたのを忘れていたのですが、酸素マスクを付けたら、あら不思議!(笑)あっという間に、すぐにほんわかした気持ちに…!なんだか心も体も解きほぐれる感じになりました。(人によって感じ方は違うと思います。)

私にとっては、違法な薬ってこういう感じなのかしら…という位なんだか気持ち良くて、それを心療内科の先生に話したら「笑気ガスとか入ってないよね~!?」と聞くので、「いや~、私もそうなんじゃないかくらい心がほぐれるんですよ~」なんて会話をしたほどです。

混合ガス療法で耳鳴りが良くなってきた!

混合ガス治療を行ってみて、私には効果あり!だと現時点で感じています。
というのは、耳鳴りの音が以前の半分程度に収まったのと、以前はほぼ一日中自宅にいるときは気になっていた耳鳴りが、主に夜のお風呂の時と寝る前ぐらいだけと、頻度も低くなったからです。

私が効果があると感じ始めたのは、本当につい最近のことで、混合ガス治療を始めて8回くらい経ったころからです。

医師からは3~4回で効果を感じる人が多いと聞いていたので、 3~4回 で効果を感じなかったときは絶望的な気持ちにもなりましたが、あきらめずに通い続けて良かったと思っています。
あと2回、真面目に通院して医師指定の全12セッションを終えたいと思っています。

耳鳴りを紛らわすアイテムや工夫

1日中耳鳴りが鳴り響いているといは、本当に生きていることさえ辛くなりました。耳鳴りの音は誰とも共有できないことから、辛さを分かってもらうのは家族でさえも難しいことです。非常に孤独感を感じました。

そんな私の助けになったのは、以下のアイテムです。
※アフィリエイトをしていないので、本当に良いと思ったものを薦めています。

★「サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法 」チャディー・メン・タン (著), 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート (著), 柴田裕之 (翻訳) 形式: Kindle版
瞑想は宗教的な行為ではなく、マインドフルネス瞑想は不安障害等にも効果があると医学的に認められています。ユーモアを織り交ぜながら瞑想の効果や実践方法について解説しています。

★ D3proホワイトノイズマシン
楽天のショップ【ドリーム生活優品】より写真を引用しています。

今でもこれを使っています。寝る前は直前までテレビを付けたり、睡眠薬(デエビゴ)を飲んで寝てしまうのですが、入浴中、耳鳴りが気になることが多く、私はお風呂のドアのすぐ外にこれを置いています。
本機器は(詳しくは商品ページをどうぞ)あらゆるホワイトノイズ(小鳥の囀り、海の波打ち、水しぶき、、雨の音、、川のせせらぎ、篝火の音などなど)を発してくれるスピーカーで、私はせせらぎ音が気に入っています。

音量調節はもちろん可能なうえ、タイマー機能も付いているので、寝室でお使いになることもできます。

※音はスピーカーから流し、ヘッドホンやイヤホンは使っていません。1日1時間以上のヘッドホン等の使用は難聴には良くないとされています。

★ ドライヤーをかけるときは、難聴の方の耳だけ耳栓をする
私以外の他の方がどうなのかは全く不明なことなのですが、私の場合、ドライヤーをかけた後に耳鳴りがひどくなる傾向がありました。おそらくドライヤ―の音が刺激になっているものと思われます。
したがって、私はドライヤーをかけるときに難聴になっている右耳だけに耳栓をしています。

最後に…

とても長い本記事を最後までお読みくださった方、本当にどうもありがとうございます。
もしも耳鳴りや不穏な音に苦しまれている方がいらっしゃいましたら、前の記事と併せてお読みいただき、それが読者のみなさまの不安や気分の落ち込みの軽減につながれば嬉しいです。

ご本人が耳鳴りで苦しまれている方、一人で苦しまないでください。よき理解者を身近に見つけることが精神的な負担の軽減になると思います。それは、家族や友人でなくても医師やカウンセラー、ネットのコミュニティ…などでも良いと思います。同じ悩みを抱えている方とつながることで、孤独ではないと思えると、それだけで心が少しでも救われのではないか、と私は思っています。

また、ご家族が耳鳴りに苦しまれているという方は、たとえその音を共有することができなくても、辛い気持ちを聞く、共感する、ということを実践していただきたいです。それが苦しんでいる人の心を楽にする一助になります。

耳鳴りで苦しまれている方に、心穏やかで平穏な日が訪れますように(私にも)。

重低音・低周波音などの騒音が気になる…と思ったら、一度はこの記事を読んで欲しい【突発性難聴】

はじめに…
私が重低音・低周波音のような騒音問題に悩み苦しんでいた時に、何度となくネットサーフィンしても得られなかった情報を、同じことで悩んでいる方とぜひシェアしたいと思い、この記事を書くことにしました。

以下にご紹介する話は、
※あくまでも私の場合の診断であり、同様の症状をお持ちの方みなさまに当てはまるものではありません必ず各自で耳鼻科等を受診するなどして、医師にご相談ください
あらかじめどうぞ↑ご承知おきください^^

今回の話題のポイント

★私が何か月間かにわたり、マンション近隣からの騒音だと思っていた「重低音・低周波音」(ボー、ブーン、という低い音)は耳鳴りであり、突発性難聴になっていた。

★病院を受診したら、時すでに遅し…で、失った聴力(私の場合は右耳、高周波音のみで通常の会話にはまったく問題なし)は戻らない。

突発性難聴となった現在でも、健康診断レベルの聴力検査では「異常なし」つまり、病気を検出できない

以上です。

最初に強調したいのが、
私の場合、耳鳴りと実際に存在する音、というものが聞き分けることが非常に難しかった
ということです。
私は分子生物学が専門の医学博士(Ph.D.) であり、今回のことも自分なりに生物学的、医学的に分析しようとしていたつもりでしたが、耳鳴りが実際の音だと思っていた期間が数か月ありました

では、時系列で詳しく経過をお話していきます。

マンションの近隣住戸からの騒音だと思っていたら耳鳴りだった

今、思い起こせば、あの時にすぐに耳鼻科を受診しておけば…と思うことがあります。
罹患してしまった突発性難聴と直結するかは不明ですが、一番最初に耳に異変を感じたのは、今から約1年半前の2020年の5月でした。

その時は、
① 心臓の早い鼓動のような音がする耳鳴り(拍動性耳鳴り)を数回経験
② 小さなサイレン音のような耳鳴りを数回経験
③ 飛行機で気圧が変化したときの耳の詰まった感じ(耳閉感)

という自覚症状がありました。

①はすぐに耳鳴りと分かったのですが、②は最初のうち、マンションの近隣住民が何かのアラーム音を発しているのかと思っていたこと、また数週間に1度という低頻度だったことから、耳鳴りだと気が付くのに1ヵ月以上かかりました。

この時(2020年の5月)に耳鼻科を受診すればよかったのですが、
・コロナで緊急事態宣言が出ていたこと
・耳鼻科という科の性質から、コロナ患者の来院の恐れがあること(耳鼻科系の病気とコロナの症状と似ているため)
・若いころ、耳閉感があって受診したところ、病気ではなかったこと
・①②が耳鳴りと判明したあとに、かかりつけの心療内科の先生に相談したところ「耳鳴りは病院を受診しても解決しないことが多い、このご時世だし、今行かなくても良いと思う」と言われた
これらが理由で病院に行きませんでした。

その後、①②の耳鳴りの症状は1~2ヶ月で収まってしまい、耳閉感だけになったため、コロナが収まったころに受診すればいいかな、と軽く考えていました。

そして、上記のできごとから1年経過した今年、2021年の5月、いつも静かなはずの自宅マンションのリビングで、ある日突然、重低音・低周波音が聞こえはじめたのです。

結局はこれが後から耳鳴りと分かるわけですが、それまでに数か月以上かかりました。

突然訳の分からない騒音に悩まされた私は、当初、「重低音」「低周波音」「騒音」などのキーワードを入れてネット検索すると、検索上では「給水ポンプのモーター音」や「エコキュート」による騒音問題の記事がたくさん出てくるので、その時は本当にそれらが原因だと思ってしまっていました。

もともと音に敏感な私は、不穏な音がしばしば聞こえてくるのが本当に辛くて、それをきっかけで更に色んな小さな物音までが気になるようになってしまい、大げさではなく、本当に生きていたくないくらい音のことでストレスが溜まってしまいました。

そんな時にネットを見ると、低周波音などの騒音は、人によって気になる人とならない人がいて、家族からも理解を得られず、辛くなって自殺する人もいるとの情報もあり、私もそうなってしまうかも…と思うようになりました。

騒音ではなく耳鳴りだと判明、耳鳴りは突発性難聴の症状だった

しかし、あれこれ調べるうちに重低音・低周波音のような性質の耳鳴りがある、同時に、耳鳴りは難聴やメニエール病の症状として発現することがある、と知りました。
この時、私はまだ音が近隣からの騒音によるものだと固く信じていましたが、まずは念のために耳を検査して耳鳴りの可能性を排除し、それから騒音調査会社に依頼して調べてもらおうと思い、耳鼻科を受診することにしました。

…すると検査により突発性難聴だったと判明したのです。これには意外過ぎて本当に驚きました。
というのも、私の場合、聞こえにくくなくなっているのが高周波数域のみであることから、日常会話には差し支えることがなかったので、自覚症状は耳鳴りと耳閉感だけだったからです。

突発性難聴の原因は、明らかになっていませんが、「ウイルス感染説」と「内耳循環障害説」が可能性のある主な原因として考えられているようです。
ストレス、睡眠不足、過労が関与するともいわれています。(もっともこれらは免疫力低下によりウイルスにも感染しやすくなるでしょうし、自律神経系の失調も惹起しそうですよね…)

私が受診した耳鼻科では、問診の後、以下の検査をして確定診断に至りました。
ティンパノメトリー鼓膜に陽圧・陰圧を加え、鼓膜の動きやすさを測定する検査
・耳鳴検査:検査機械の音を聞き、自分の耳鳴りの音の高さや音色を調べる
 →私の場合は検査機械音のどの音にも似ていませんでした。
標準鈍音聴力検査:低周波~高周波の音を聞き、難聴の種類や程度を調べる
・耳音響放射(OAE)検査:外有毛細胞の機能検査
・レントゲン
追加で、別日に聴覚神経関連の部位に腫瘍等が無いかを調べるために、
・頭部MRI
も行いました。

この初回の検査のうち、病院から結果をもらえて、手元にあるのが 標準鈍音聴力検査の結果(オージオグラム)だけですが、結果はこちら↓
縦軸が聴力レベル、横軸が周波数です。


気導聴力が20デシベル以内ならほぼ正常と言われていますが、私の場合、左耳(X印)に比べて特に右耳(〇印)が高い周波数で下がっていて、周波数8000Hzでは約55デシベル程度と、高い音ほど聞こえにくくなってしまっているのがわかります。

突発性難聴の治療は早期であることが重要

大変ショックなことに、この初回の診察で医師から言われたのは、
「発症から2週間以内程度にステロイド剤治療を行うと、改善が期待できるのですが、あなたの場合は2週間以上が経過したようなので、その時期を過ぎてしまいました。」

「つまり、聴力は回復しないということでしょうか?」と尋ねると、「残念ながら恐らく治癒しない可能性が高いです。」とのことでした。

結局、私はステロイド剤を投与されることはなく(投与してももう効果のある時期は過ぎてしまったので)、飲み薬を処方されて帰宅しました。飲み薬は難聴を劇的に改善する薬というものではありません。(薬物治療等についてはまた改めて続きの記事に書きます)

正直、この検査の結果をもらった時点でも、私はまだ音は外から聞こえるように感じていました。実は、耳鳴りだなと完全に思えるようになったのは、実は始まりから半年ほと経った、ここ1ヶ月くらいです。

長い間、耳鳴りを実際の音だと思っていたことには、2つ理由があります

A. 音が自分が知っている耳鳴りのイメージとはまったく違ったこと
私に聞こえている耳鳴りはどんな音かというと、非常に低~~~い音で、「ボンボン、ボーボー―――、ボ、ボ、ボン」という感じで、この「ボー」とか「ボン」の音の長さは不規則なものです。
音の低さは、クラブとかでかかるような音楽の(クラブに行ったことないけど、笑)重低音くらいです。

B. 何度よく聞いても、音が自分からではなく、外からの音のように聞こえること
音が聞こえ始めて特に最初の3ヶ月弱くらいの間は、外から聞こえる実際の音だとしか思っていませんでした。結局それがそうでないと判明したのは、ホテルに宿泊したときに同じ音が聞こえたからです。しかし、その時の私はそれでもまだ信じられずに、自宅マンションとホテルは構造上似ていて何か同じ音を発するものがあるのかも…とすら思っていました。
その後、今度は実家(一軒家)に帰った時に同じ音が聞こえて、ついに耳鳴りだと気が付きました。

私の場合は健康診断では異常を検出できなかった

今回、すでに突発性難聴と診断されたうえで、健康診断の聴力検査を受けましたが、健康診断で診る周波数は限定的なため、下記の通り、「所見無し」となり、健康診断では異常は見つかりませんでした。(事前に問診表に自己申告で突発性難聴と書いたため、「F治療中・経過観察中」になっています)

これまで経験談を長々と書いてきましたが、少なくとも私は、音で悩まされていた時にネットで似たような症状の経験者を見つけられていたら、「このことで苦しんでいるのは自分一人じゃない」と思えて、それだけでも心が少し救われたと思います。

今、重低音・低周波音のような音でお悩みの方、実際の音の場合もあるとは思いますが、このような事例もあるということをぜひ知っていただき、一助となれば幸いです。

次回は、これまで試した薬物療法や治療の経過、効果のあった混合ガス療法について、書きたいと思います。