重低音・低周波音などの騒音が気になる…と思ったら、一度はこの記事を読んで欲しい【突発性難聴】

はじめに…
私が重低音・低周波音のような騒音問題に悩み苦しんでいた時に、何度となくネットサーフィンしても得られなかった情報を、同じことで悩んでいる方とぜひシェアしたいと思い、この記事を書くことにしました。

以下にご紹介する話は、
※あくまでも私の場合の診断であり、同様の症状をお持ちの方みなさまに当てはまるものではありません必ず各自で耳鼻科等を受診するなどして、医師にご相談ください
あらかじめどうぞ↑ご承知おきください^^

今回の話題のポイント

★私が何か月間かにわたり、マンション近隣からの騒音だと思っていた「重低音・低周波音」(ボー、ブーン、という低い音)は耳鳴りであり、突発性難聴になっていた。

★病院を受診したら、時すでに遅し…で、失った聴力(私の場合は右耳、高周波音のみで通常の会話にはまったく問題なし)は戻らない。

突発性難聴となった現在でも、健康診断レベルの聴力検査では「異常なし」つまり、病気を検出できない

以上です。

最初に強調したいのが、
私の場合、耳鳴りと実際に存在する音、というものが聞き分けることが非常に難しかった
ということです。
私は分子生物学が専門の医学博士(Ph.D.) であり、今回のことも自分なりに生物学的、医学的に分析しようとしていたつもりでしたが、耳鳴りが実際の音だと思っていた期間が数か月ありました

では、時系列で詳しく経過をお話していきます。

マンションの近隣住戸からの騒音だと思っていたら耳鳴りだった

今、思い起こせば、あの時にすぐに耳鼻科を受診しておけば…と思うことがあります。
罹患してしまった突発性難聴と直結するかは不明ですが、一番最初に耳に異変を感じたのは、今から約1年半前の2020年の5月でした。

その時は、
① 心臓の早い鼓動のような音がする耳鳴り(拍動性耳鳴り)を数回経験
② 小さなサイレン音のような耳鳴りを数回経験
③ 飛行機で気圧が変化したときの耳の詰まった感じ(耳閉感)

という自覚症状がありました。

①はすぐに耳鳴りと分かったのですが、②は最初のうち、マンションの近隣住民が何かのアラーム音を発しているのかと思っていたこと、また数週間に1度という低頻度だったことから、耳鳴りだと気が付くのに1ヵ月以上かかりました。

この時(2020年の5月)に耳鼻科を受診すればよかったのですが、
・コロナで緊急事態宣言が出ていたこと
・耳鼻科という科の性質から、コロナ患者の来院の恐れがあること(耳鼻科系の病気とコロナの症状と似ているため)
・若いころ、耳閉感があって受診したところ、病気ではなかったこと
・①②が耳鳴りと判明したあとに、かかりつけの心療内科の先生に相談したところ「耳鳴りは病院を受診しても解決しないことが多い、このご時世だし、今行かなくても良いと思う」と言われた
これらが理由で病院に行きませんでした。

その後、①②の耳鳴りの症状は1~2ヶ月で収まってしまい、耳閉感だけになったため、コロナが収まったころに受診すればいいかな、と軽く考えていました。

そして、上記のできごとから1年経過した今年、2021年の5月、いつも静かなはずの自宅マンションのリビングで、ある日突然、重低音・低周波音が聞こえはじめたのです。

結局はこれが後から耳鳴りと分かるわけですが、それまでに数か月以上かかりました。

突然訳の分からない騒音に悩まされた私は、当初、「重低音」「低周波音」「騒音」などのキーワードを入れてネット検索すると、検索上では「給水ポンプのモーター音」や「エコキュート」による騒音問題の記事がたくさん出てくるので、その時は本当にそれらが原因だと思ってしまっていました。

もともと音に敏感な私は、不穏な音がしばしば聞こえてくるのが本当に辛くて、それをきっかけで更に色んな小さな物音までが気になるようになってしまい、大げさではなく、本当に生きていたくないくらい音のことでストレスが溜まってしまいました。

そんな時にネットを見ると、低周波音などの騒音は、人によって気になる人とならない人がいて、家族からも理解を得られず、辛くなって自殺する人もいるとの情報もあり、私もそうなってしまうかも…と思うようになりました。

騒音ではなく耳鳴りだと判明、耳鳴りは突発性難聴の症状だった

しかし、あれこれ調べるうちに重低音・低周波音のような性質の耳鳴りがある、同時に、耳鳴りは難聴やメニエール病の症状として発現することがある、と知りました。
この時、私はまだ音が近隣からの騒音によるものだと固く信じていましたが、まずは念のために耳を検査して耳鳴りの可能性を排除し、それから騒音調査会社に依頼して調べてもらおうと思い、耳鼻科を受診することにしました。

…すると検査により突発性難聴だったと判明したのです。これには意外過ぎて本当に驚きました。
というのも、私の場合、聞こえにくくなくなっているのが高周波数域のみであることから、日常会話には差し支えることがなかったので、自覚症状は耳鳴りと耳閉感だけだったからです。

突発性難聴の原因は、明らかになっていませんが、「ウイルス感染説」と「内耳循環障害説」が可能性のある主な原因として考えられているようです。
ストレス、睡眠不足、過労が関与するともいわれています。(もっともこれらは免疫力低下によりウイルスにも感染しやすくなるでしょうし、自律神経系の失調も惹起しそうですよね…)

私が受診した耳鼻科では、問診の後、以下の検査をして確定診断に至りました。
ティンパノメトリー鼓膜に陽圧・陰圧を加え、鼓膜の動きやすさを測定する検査
・耳鳴検査:検査機械の音を聞き、自分の耳鳴りの音の高さや音色を調べる
 →私の場合は検査機械音のどの音にも似ていませんでした。
標準鈍音聴力検査:低周波~高周波の音を聞き、難聴の種類や程度を調べる
・耳音響放射(OAE)検査:外有毛細胞の機能検査
・レントゲン
追加で、別日に聴覚神経関連の部位に腫瘍等が無いかを調べるために、
・頭部MRI
も行いました。

この初回の検査のうち、病院から結果をもらえて、手元にあるのが 標準鈍音聴力検査の結果(オージオグラム)だけですが、結果はこちら↓
縦軸が聴力レベル、横軸が周波数です。


気導聴力が20デシベル以内ならほぼ正常と言われていますが、私の場合、左耳(X印)に比べて特に右耳(〇印)が高い周波数で下がっていて、周波数8000Hzでは約55デシベル程度と、高い音ほど聞こえにくくなってしまっているのがわかります。

突発性難聴の治療は早期であることが重要

大変ショックなことに、この初回の診察で医師から言われたのは、
「発症から2週間以内程度にステロイド剤治療を行うと、改善が期待できるのですが、あなたの場合は2週間以上が経過したようなので、その時期を過ぎてしまいました。」

「つまり、聴力は回復しないということでしょうか?」と尋ねると、「残念ながら恐らく治癒しない可能性が高いです。」とのことでした。

結局、私はステロイド剤を投与されることはなく(投与してももう効果のある時期は過ぎてしまったので)、飲み薬を処方されて帰宅しました。飲み薬は難聴を劇的に改善する薬というものではありません。(薬物治療等についてはまた改めて続きの記事に書きます)

正直、この検査の結果をもらった時点でも、私はまだ音は外から聞こえるように感じていました。実は、耳鳴りだなと完全に思えるようになったのは、実は始まりから半年ほと経った、ここ1ヶ月くらいです。

長い間、耳鳴りを実際の音だと思っていたことには、2つ理由があります

A. 音が自分が知っている耳鳴りのイメージとはまったく違ったこと
私に聞こえている耳鳴りはどんな音かというと、非常に低~~~い音で、「ボンボン、ボーボー―――、ボ、ボ、ボン」という感じで、この「ボー」とか「ボン」の音の長さは不規則なものです。
音の低さは、クラブとかでかかるような音楽の(クラブに行ったことないけど、笑)重低音くらいです。

B. 何度よく聞いても、音が自分からではなく、外からの音のように聞こえること
音が聞こえ始めて特に最初の3ヶ月弱くらいの間は、外から聞こえる実際の音だとしか思っていませんでした。結局それがそうでないと判明したのは、ホテルに宿泊したときに同じ音が聞こえたからです。しかし、その時の私はそれでもまだ信じられずに、自宅マンションとホテルは構造上似ていて何か同じ音を発するものがあるのかも…とすら思っていました。
その後、今度は実家(一軒家)に帰った時に同じ音が聞こえて、ついに耳鳴りだと気が付きました。

私の場合は健康診断では異常を検出できなかった

今回、すでに突発性難聴と診断されたうえで、健康診断の聴力検査を受けましたが、健康診断で診る周波数は限定的なため、下記の通り、「所見無し」となり、健康診断では異常は見つかりませんでした。(事前に問診表に自己申告で突発性難聴と書いたため、「F治療中・経過観察中」になっています)

これまで経験談を長々と書いてきましたが、少なくとも私は、音で悩まされていた時にネットで似たような症状の経験者を見つけられていたら、「このことで苦しんでいるのは自分一人じゃない」と思えて、それだけでも心が少し救われたと思います。

今、重低音・低周波音のような音でお悩みの方、実際の音の場合もあるとは思いますが、このような事例もあるということをぜひ知っていただき、一助となれば幸いです。

次回は、これまで試した薬物療法や治療の経過、効果のあった混合ガス療法について、書きたいと思います。